この記事で学べること
猛暑や多湿、強い紫外線など、夏の環境は肌や頭皮にとって非常に過酷です。さらに、自律神経の乱れによる睡眠不足など、全身の疲労も蓄積しやすくなります。こうした夏の不快感や疲れに対するアプローチとして、近年注目を集めているのが「温感」と「冷感」を組み合わせたケアです。
本記事では、処方のプロフェッショナルである研究員の視点から、疲労回復につながる「温冷交代浴」のメカニズムや、化粧品に「冷たさ」「温かさ」を付与する成分の仕組みを詳しく解説します。夏の課題に寄り添い、消費者に新しい心地よさを提供する製品企画のヒントとしてお役立てください。
目次
- 夏の疲れをリセットする「温冷交代浴」のメカニズム
- 過酷な夏の頭皮と疲労蓄積
- 「しあわせホルモン」増加のエビデンス
- 自宅で簡単!「温冷交代浴」の実践メソッド
- 化粧品における「冷感(クール感)」のメカニズム
- 冷感を付与する2つのアプローチ(化学的・感覚的)
- 持続する冷感!「Wの冷感効果」の処方設計
- 化粧品における「温感(ウォーム感)」のメカニズム
- 温感を付与する2つのアプローチ(発熱・感覚的)
- 新しいバスタイム提案「温冷交代リフレッシュ」の企画視点
- 温感と冷感それぞれの役割
- 企画担当者が押さえたい体感設計のポイント
- まとめ:夏の不快感に寄り添う処方設計を山田製薬と
夏は猛暑や多湿、紫外線により、頭皮環境が非常に過酷になる季節です。汗や皮脂の分泌が増加し、頭皮のべたつきや不快な「汗臭」が発生しやすくなります。また、自律神経の乱れによる睡眠不足など、全身の疲労も蓄積しがちです。こうした夏のストレスを払拭するケアとして、古くから親しまれている『温冷交代浴』が改めて注目されています。
温かいお湯と冷たい水に交互に入ることで、疲労回復や自律神経バランスの調整効果が認められており、アスリートのケアにも導入されています。
通常入浴と温冷交代浴のお風呂上がり前後のホルモン変化を調査した結果、温冷交代浴では「しあわせホルモン」と呼ばれる『オキシトシン』の増加量の差が大きいことが確認されました。オキシトシンは、ストレスの緩和やリラックス感をもたらすと言われています。この「温と冷の交代」というアプローチは、夏の疲労感に対する新しい化粧品企画の切り口となります。
データ引用:「実績で分かった 入浴法による効果の違い」/監修 早坂信哉(東京都市大学教授)
身体の疲労をリセットするために、ご自宅のバスタイムで手軽に取り入れられるステップをご紹介します。
この入浴法にクール系アイテムなどを併用することで、全身と頭皮のWリフレッシュへとつながります。
夏向けのクール系アイテムで「冷たさ」を付与するメカニズムは、大きく2種類に分類されます。
| ① 化学的冷感(物理温度低下) | ② 感覚的冷感(受容体刺激) |
|---|---|
| 液体が気体に変わる際の「気化熱」を利用し、周囲から熱を奪って実際に温度を下げる仕組みです。エタノールや、エアゾールの噴射剤(LPG・DME)などが該当し、蒸発が終わると冷却作用もなくなります。 | 皮膚や頭皮の「冷刺激受容体(TRPM8)」を刺激し、実際の温度変化に関わらず脳に清涼感を感じさせる仕組みです。メントールやカンフルなどが代表的で、長時間持続しやすい特徴があります。 |
「Wの冷感効果」は、物理的な温度低下による“瞬間の冷たさ”と、冷感受容体への刺激による“心地よい持続性”を掛け合わせる処方設計です。これらを組み合わせることで、塗布直後だけでなく、時間が経っても続く冷感を実現します。
実際に、クールボディスプレーを使用した際の肌表面温度をサーモカメラで測定すると、塗布直後から数分後にわたって温度低下が確認でき、持続的な効果を視覚的に実証することができます。
試験方法:首元にクールボディスプレーAを塗布。使用前後の肌表面温度をサーモカメラで測定。
「ぽかぽか」とした温かさを感じる仕組みも、冷感と同様に大きく2種類に分けられます。実際に肌の温度を上げるタイプと、温かさの感覚だけを与えるタイプを製品の目的に応じて使い分けます。
| ① 化学的温感(発熱タイプ) | ② 感覚的温感(受容体刺激) |
|---|---|
| 成分自体が皮膚上の水分(水)と混ざることで実際に発熱(水和熱/希釈熱)するタイプです。グリセリンや多価アルコールなどが代表的で、クレンジングやマッサージ料に多く用いられます。入浴剤やボディケアで「じんわり温かい」実感につながります。 | 皮膚や頭皮の「温刺激受容体(TRPV1)」を刺激し、感覚的な温熱感を持続させるタイプです。バニリルブチルやトウガラシ由来成分、ショウガ由来成分などが該当します。実際の温度変化が小さくても「あたたかい」感覚を生み出せます。 |
温感と冷感は、それぞれ異なる役割を持っています。「温めてから冷やす」という流れで整理することで、体感設計の考え方を企画視点で捉えやすくなります。
夏向けの企画においては、以下のポイントを整理することが成功の鍵となります。
温冷感メカニズムを深く理解して整理することで、夏の暑さや湿度による不快感、汗・皮脂によるべたつきといった課題に寄り添った、新しい体感設計の発想が広がります。
今回は、夏の疲労回復に役立つ「温冷交代浴」のメカニズムから、化粧品における冷感・温感の処方設計のヒントまでを解説しました。夏は冷房や外気の暑さにより、様々な不快感が重なりやすい季節です。温感と冷感をどのように組み合わせるかという視点は、これまでにない魅力的な夏向け製品を生み出す可能性を秘めています。
※温感・冷感の強さや使用感は、成分選定、配合量、剤型、使用部位により変化します。
山田製薬では、多数の開発経験をもとに、ターゲットやコンセプトに合わせた温感・冷感成分の選定から持続力の調整まで、用途に応じた最適な処方をご提案します。機能性と体感を両立させた製品づくりをご検討の際は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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▶監修:平山真理子(ひらやま・まりこ)
5年以上ヘアケア製品の研究員として商品開発に従事。サロン向けPB企画を経て、現在は山田製薬で化粧品OEM/ODMの製品企画・営業企画を担当。研究開発とマーケティングの知見を活かし、ブランド価値の創造に取り組んでいる。
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