- Home >
- お役立ち情報:知恵袋 >
- 化粧品の作り方を紹介!D2Cブランド向けOEM/ODM活用術
化粧品の作り方を紹介!D2Cブランド向けOEM/ODM活用術
この記事で学べること
- D2Cブランドが成功するための開発ステップと注意点
- 信頼できるOEM/ODMメーカーの見極め方と選定基準
- パッケージ・処方・品質管理までの実務的な流れとコツ
化粧品市場はD2Cモデルの普及により、個人や小規模ブランドでも独自商品を展開しやすくなっています。OEMやODMを活用すれば、製造設備や開発ノウハウがなくても、高品質な製品をスピーディーに形にできます。本記事では、D2Cブランドの立ち上げや商品開発を目指す方に向けて、企画から納品までの基本ステップや、OEM/ODMメーカーの選び方、失敗を防ぐポイントを実践的に解説します。
目次
化粧品開発の重要性と市場動向
化粧品開発の基本ステップ
- D2Cブランドの成長と競争激化
OEM/ODMの役割とメリット
D2CビジネスモデルとOEM/ODM活用の親和性
OEM/ODMメーカーの選定ポイント
- 企画立案とコンセプト設計
処方開発と試作
パッケージデザインと資材調達
製造・品質管理・納品
成功事例と失敗しないための注意点
- 技術力と開発実績
提案力と対応スピード
コミュニケーションとサポート体制
まとめ:理想の化粧品を実現するために
- 成功事例の紹介
よくある失敗とその回避策
化粧品開発の重要性と市場動向
D2Cブランドの台頭により、消費者とブランドの関係性は大きく変化しました。SNSやECの普及によって、ブランドが自ら情報を発信し、直接販売することが一般化しています。一方で、参入障壁が下がったことで、同じ市場に多くのブランドがひしめき合う状況も生まれています。
近年は、成分や品質だけでなく、ブランドごとの独自性や世界観が重視される傾向が強まっています。他ブランドと似たようなデザインやコンセプトでは、ユーザーの印象に残らず、選ばれにくい時代です。このような環境下では、誰に何をどう届けるのかを明確にした上で、商品開発とブランドコミュニケーションを統合的に設計することが求められます。D2Cブランドが成長を続けるには、飽和した市場における戦略的なポジショニングが不可欠です。
D2Cブランドの成長と競争激化
D2Cブランドの成長により、消費者がブランドと直接つながる機会が増えた一方で、同じ土俵で多くのブランドが競い合うようになり、競争は急速に激化しています。製品開発とマーケティングを一体で進められる強みがある一方で、その分コンセプトや商品に対する評価も非常にシビアです。
たとえば、どれほど優れた成分を使用していても、他ブランドと見た目やコンセプトが似ていれば、ユーザーの印象に残らず、購入にもつながりにくくなります。また、SNS上では「目新しさ」や「ストーリー性」が注目を集めやすく、品質だけでは差別化が難しいという課題もあります。
こうした競争環境では、単に商品をつくるだけでなく、「誰に・なぜ・どのように届けるのか」を明確に定義した上で、開発とコミュニケーション設計を行う必要があります。D2Cブランドが継続的に成長していくためには、マーケットの飽和を前提とした差別化戦略と、継続的なブランド価値の強化が重要です。
OEM/ODMの役割とメリット
化粧品業界では、限られた社内リソースで高品質な商品を効率よく開発するために、OEMやODMの活用が一般的となっています。特に、製造設備や研究体制を持たない企業にとって、専門メーカーとの連携はスピードと品質を両立させる有効な手段です。
OEM(Original Equipment Manufacturer)は、ブランド側が企画や設計を行い、製造工程のみを外部に委託する形式です。一方、ODM(Original Design Manufacturer)は、製品企画から開発・製造までを一貫して任せられるモデルで、開発リソースが限られる企業にとっては特に有用です。
たとえば、ブランドコンセプトやマーケティングは得意だが、製品開発の知見が浅い場合、ODMの提案力を活用することで完成度の高い商品を短期間で市場に投入することができます。OEM/ODMは、企画の実行力を高める“製品づくりのパートナー”として活用できます。
関連記事:OEMとODMの違いは?それぞれの意味やメリットやデメリットも詳しく解説
D2CビジネスモデルとOEM/ODM活用の親和性
D2C(Direct to Consumer)ビジネスモデルは、ブランドが企画・製造・販売・顧客対応までを一貫して担い、卸や小売を介さずに消費者と直接つながる仕組みです。仲介業者を通さないため、商品単価に対する利益率を高く保てるだけでなく、ユーザーの声をダイレクトに収集・反映できる柔軟性も大きな特徴です。
このモデルでは、ブランドの世界観や価値観をそのまま届けられる反面、スピーディーな商品開発、精度の高いマーケティング、サプライチェーン管理までを限られた社内リソースで行う必要があり、運営の難易度は決して低くありません。
特に化粧品のようにトレンド変化が激しいカテゴリでは、SNSでのユーザー反応を起点にした短期開発や、少量・多品種の展開が求められます。こうしたD2C特有の構造的な要求に応えるうえで、OEMやODMは極めて有効なパートナーです。たとえば、処方の設計やパッケージの提案、安定性試験から薬事対応までを一括で任せられる体制は、D2Cブランドがマーケティングと顧客体験の設計に集中するための基盤となります。
OEM/ODMを単なる製造委託ではなく、ブランド構築を支える「戦略的機能」として捉えることが、D2Cモデルにおける成功の重要なカギとなります。スピード・柔軟性・品質という3要素をバランス良く実現するために、外部パートナーの専門性を最大限に活かす視点が求められます。
化粧品開発の基本ステップ
「化粧品を作りたい」と思っても、具体的に何から始めればよいか迷う方は多いでしょう。ここでは、OEM/ODMを活用した化粧品開発の流れを4つのステップに分けて解説します。
企画立案とコンセプト設計
化粧品開発の出発点は、「どのような製品にしたいのか」という明確なビジョンを言語化することです。これは単にアイデアを思いつくだけでなく、ブランドの方向性やターゲット層を定め、製品の魅力をどう伝えるかを設計する重要な工程です。明確なコンセプトがないままでは、開発が迷走し、市場での訴求力も弱まってしまいます。
たとえば、D2Cブランドの場合は、SNSでの発信が販売戦略の中核になるため、「共感されるストーリー性」や「視覚的な印象」を意識した設計が重要です。また、価格帯や使用シーン、テクスチャー、香りといった要素もターゲットに合わせて決めていく必要があります。こうした企画段階での設計が、製品そのものの完成度とブランドの信頼性を左右します。
企画立案とコンセプト設計は、開発全体の方向を決める土台となる工程です。市場で選ばれる製品を生み出すためには、具体性と一貫性を持った企画づくりが不可欠です。
処方開発と試作
コンセプトが明確になった後は、それを製品として具現化するための処方開発と試作が始まります。この工程では、製品の中身である成分やテクスチャー、香り、使用感などを細かく検討し、製品の実現性を検証します。OEM/ODMメーカーの開発スタッフが複数のサンプルを提案しながら、理想の仕上がりを追求していきます。
なぜこの工程が重要かというと、いかにコンセプトが優れていても、実際の使用感や効果が伴わなければ、消費者の満足度やリピート率に直結するためです。たとえば、しっとり感を求めるスキンケア商品であれば、保湿成分の選定だけでなく、塗布後のべたつきや香りの持続性なども購買判断に影響します。また、成分の安定性や法的な表示要件への対応もこの段階で確認されます。
処方開発と試作は、製品の品質と信頼性を支える要であり、競合との差別化を図るうえでも独自性のある提案が求められます。D2Cブランドとして信頼される製品をつくるためには、この工程に十分な時間とこだわりをかけることが重要です。
パッケージデザインと資材調達
製品の中身が決まり次第、次に取り組むべきはパッケージのデザインと資材の選定です。パッケージは、消費者が最初に目にする要素であり、ブランドイメージを視覚的に伝える重要な役割を担っています。そのため、デザインの方向性を明確にし、製品コンセプトと統一感を持たせることが求められます。
たとえば、ナチュラル志向のブランドであれば、リサイクル可能な素材やシンプルなフォルムが選ばれる傾向があります。一方、高級感を重視する場合には、ガラス容器や箔押し印刷など、ディテールにこだわった仕様が選ばれることもあります。容器の材質や形状、キャップの仕様、ラベルのデザインなどはすべてブランド価値に影響を与えるため、慎重に検討する必要があります。
また、近年では「サステナブル」や「ジェンダーニュートラル」といった要素も、パッケージ設計において重視されるようになっています。単なる見た目の美しさだけでなく、ブランドの姿勢や社会的価値観をどう反映させるかが、パッケージ選定における新たな基準となっています。
パッケージデザインと資材調達は、消費者にブランドの魅力を伝える重要なポイントです 。製品の外観が与える印象と使いやすさのバランスを取りながら、ブランドメッセージがしっかりと伝わる形を目指すことが重要です。
製造・品質管理・納品
化粧品開発の最終ステップは、実際の製造から品質管理、納品までの一連のプロセスです。この段階は製品化の総仕上げにあたるため、トラブルが発生すれば発売スケジュールやブランドの信頼に直接影響を及ぼします。そのため、製造現場における精密な管理体制が不可欠です。
たとえば、製造前には原料や容器の受け入れ検査を行い、不良品の混入を防ぎます。充填時には内容量や外観の確認、ロット番号の印字チェックなど、細部にわたって検査が実施されます。これに加えて、製品に貼付する成分表示や薬機法に基づいた法定表示の確認もこの工程で行われます。特に薬機法に関しては、記載ミスがあれば回収や販売停止といったリスクが発生するため、慎重な対応が求められます。
また、D2Cブランドの場合、発売日やキャンペーンにあわせた納品スケジュールの厳守が重要となります。OEM/ODMメーカーとの密な連携により、工程ごとの進捗を管理し、リスクを未然に防ぐ体制を整えることが求められます。
製造・品質管理・納品は、製品の信頼性とブランド価値を守る要の工程です。スムーズな立ち上げと継続的な供給体制を構築するためにも、各工程の精度と連携力を高めることが不可欠です。
関連記事:化粧品開発の流れを解説!成功のポイントやOEMメーカーの選び方も紹介
OEM/ODMメーカーの選定ポイント
化粧品づくりの成否は「OEM/ODMメーカー選び」で8割決まる、と言っても過言ではありません。ここでは選定の際に見るべき3つの視点をご紹介します。
技術力と開発実績
OEM/ODMメーカーごとに得意分野があり、スキンケア特化/ヘアケア特化、医薬部外品対応、ヴィーガン対応などの違いがあります。また、展示会出展や表彰歴があるかも信頼性の指標です。
【チェック項目】
✅技術力が高く、幅広い処方や製剤技術に対応しているか
✅ これまでの開発実績が豊富であるか
✅ 理想とする製品イメージに近づける技術的柔軟性があるか
✅ スキンケア製品、医薬部外品、ヴィーガン対応処方など、得意分野が明確か
✅ 自社のブランドコンセプトや市場ターゲットに合致する技術領域を持っているか
✅ 特許取得歴があるか
✅ 展示会出展実績や業界団体からの表彰歴があるか
✅ 製品の競争力や差別化につながる技術提案ができるか
✅ 開発例や対応可能な処方について、具体的に確認できるか
✅ 自社の要件を整理し、的確な質問を行う準備ができているか。
提案力と対応スピード
数日以内の初回回答、スムーズなサンプル対応、オンライン会議の柔軟性など、メーカーの対応スピードは競争力に直結します。また、提案内容の幅や具体性も重要です。
【チェック項目】
✅ 提案力と対応スピードが実務レベルで信頼できるか
✅ スケジュール遵守やトレンド対応に必要な迅速な対応力があるか
✅ 単なる指示待ちでなく、能動的に提案してくれる姿勢があるか
✅ 使用感、コスト、訴求成分など複数視点から提案ができるか
✅ 開発の質とスピードを両立させるノウハウや体制があるか
✅ 初回問い合わせへの対応時間がスムーズか
✅ 試作品提供までのスケジュールが明確かつ迅速か
✅ 打ち合わせの日時や内容調整などに柔軟に対応してくれるか
✅ ブランド立ち上げやリニューアル時にも頼れるスピードと対応力があるか
✅ 初期対応から信頼できる姿勢が感じられるか。
コミュニケーションとサポート体制
やりとりのストレスが多いOEM/ODM先は、開発が思うように進みません。担当者の対応力、フィードバックの明確さ、処方改良、薬事や表示対応などの知識があるかどうかもチェックポイントです。
【チェック項目】
✅ 開発過程でのコミュニケーションがスムーズか
✅ 確認事項や意思決定のやり取りが迅速・的確に行えるか
✅ 担当者に薬機法や表示規定などの専門知識があるか
✅ 質問に対する回答が明確かつスピーディーか
✅ 初回ヒアリング時に意図を正確にくみ取り、必要情報を適切に提供してくれるか
✅ 定期的な進捗報告があるか
✅ トラブル発生時に迅速な対応ができる体制が整っているか
✅ メールや打ち合わせ時のレスポンスが速く、内容が的確か
✅ 問題発生時に一緒に解決へ向けて動いてくれる「並走力」があるか
✅ コミュニケーションの質とサポート体制が、長期的な信頼関係構築につながるか
関連記事:化粧品で起業するには?オリジナルコスメの開発方法と必要資格を解説
成功事例と失敗しないための注意点
化粧品開発では、計画通りに進めても予期せぬ課題に直面することがあります。一方、短期間で成果を上げたD2Cブランドには、明確な目標設定やOEMメーカーと密な連携が成功の共通要因として見られます。
逆に、試作時の認識齟齬や納期の遅れといった失敗は、準備不足や情報共有の欠如が主な原因です。この章では、実際の成功事例と失敗例を通じて、リスク回避とプロジェクト成功のポイントを解説します。
成功事例の紹介
この章では、山田製薬株式会社が支援させていただいた、株式会社SpartyのMEDULLA(メデュラ)ブランドの事例をご紹介します。
MEDULLAは「診断と相談でつくりあげる、あなた専用のヘアケアプログラム」をコンセプトとしています。顧客の髪質、悩み、理想に合わせて最適な処方、アイテム、使用方法を提案する、高度にパーソナライズされたサービスを提供しています。
MEDULLAはさらなるヘアケアサービスの強化を必要としており、リニューアルによってアイテム数を増やさずパーソナライズの拡張や強化を課題としていました。
製品開発プロセスにおいては、ヘアケアに強く40年の毛髪研究実績を持つOEM会社の山田製薬株式会社と提携し、累計700回以上の試作を重ね、理想の調合を実現。
ユーザー体験設計にも注力し、クイズ診断の演出にこだわり、商品が作られていく高揚感を演出しました。さらに、パッケージ、配送ボックス、ブランドブックなど全てにときめき要素を追加し、顧客の満足度向上に努めました。
これらの取り組みの結果、既存顧客やSNSでの高評価を獲得し、50~60代の購入層の拡大という成果を上げています。
化粧品OEM製造を成功させるためには、信頼できるOEMメーカーの選定が重要です。選定の際には、以下のポイントを考慮すると良いでしょう。
関連記事:「MEDULLAパーソナライズヘアケアができるまで」株式会社Sparty様、化粧品OEM製造成功例とメーカー選定のポイントを解説
よくある失敗とその回避策
化粧品開発における失敗の多くは、初期段階での認識不足やコミュニケーションの齟齬によって引き起こされます。特にD2Cブランドでは、開発・マーケティング・納期の各要素が密接に関わるため、準備が不十分な状態ではスムーズな進行が難しくなります。たとえば、コンセプトが曖昧なままOEM/ODM会社に依頼をすると、試作で迷走し、時間やコストがかさむリスクがあります。また、試作段階でのフィードバックが曖昧だった場合、製品の仕上がりに齟齬が生じることがあります。さらに、発売日から逆算したスケジュール設計が甘いと、資材の納期遅延や薬事表示の確認不足が問題となり、予定通りの発売が困難になります。
これらのリスクを避けるためには、初回打ち合わせで「目的」「想定価格」「販売時期」などを明確に伝えることが重要です。また、メールや資料でやり取りの履歴を残すことで、後からの認識ズレを防ぐことができます。さらに、課題や疑問点が生じた際には、ためらわずに随時共有する姿勢が信頼関係の構築にもつながります。
開発過程での失敗を回避するためには、具体性と情報共有を徹底することが基本です。計画段階から意識的にリスクマネジメントを行うことで、完成度の高い製品を効率的に世に送り出すことが可能になります。
まとめ:理想の化粧品を実現するために
理想の化粧品を形にするためには、優れたアイデアや成分だけではなく、開発から製造、納品までの一連のプロセスを戦略的に設計することが不可欠です。特にD2Cブランドの場合、スピード感と独自性の両立が求められるため、OEM/ODMメーカーとの信頼関係が成功を左右します。
たとえば、コンセプト設計を丁寧に行い、ターゲットニーズを明確にしたうえで、提案力のあるパートナーと連携すれば、品質・機能性・デザインのすべてで競争力のある製品を実現できます。また、トラブルを未然に防ぐためのスケジュール管理や、情報共有の徹底といった運用面の工夫も重要です。
化粧品づくりは一度きりのプロジェクトではなく、ブランドの信頼を積み重ねていく継続的な活動です。だからこそ、各ステップでの判断と準備を丁寧に行い、パートナーと共に理想のゴールを見据えることが、長期的な成功につながります。現実的な計画と柔軟な対応力を兼ね備えることで、本当に求められる製品を市場に届けることが可能です。
山田製薬では、大手通販会社様や化粧品メーカー様など幅広い取引実績があります。D2CビジネスでOEM/ODMによる製品製造をご検討の際は、ぜひ一度山田製薬にご相談ください。ます。
関連記事:化粧品OEM/ODMのご案内
.png?width=120&height=180&name=ChatGPT%20Image%202025%E5%B9%B44%E6%9C%8825%E6%97%A5%2011_20_15%20(1).png)
▶監修:平山真理子(ひらやま・まりこ)
5年以上ヘアケア製品の研究員として商品開発に従事。サロン向けPB企画を経て、現在は山田製薬で化粧品OEM/ODMの製品企画・営業企画を担当。研究開発とマーケティングの知見を活かし、ブランド価値の創造に取り組んでいる。